「あと1件だけ」が終わらない。フードデリバリー配達員の帰れない一日

Uber Eats (ウーバーイーツ)

今日はそんなに働くつもりじゃなかった。

ちょっとだけ配達して、鳴らなくなったら帰ろう。

そのくらいの軽い気持ちでオンラインにした。

ところが、こういう日に限って鳴る。

1件終わる。

また鳴る。

「じゃあ、これだけ行こうかな」

終わる。

また鳴る。

気がつけば、最初に考えていた「ちょっとだけ」は、とっくにどこかへ消えていた。

配達員の「あと1件」は信用できない

フードデリバリーをやっていると、帰るタイミングが難しい。

暇なら簡単だ。

鳴らないなら帰ればいい。

問題は、中途半端に鳴っている日。

帰ろうと思った瞬間に、近くのお店から注文が入る。

しかも行き先も悪くない。

「これなら行ってもいいかな」

そう思って受けると、配達先の近くでまた次の注文が入る。

こうなると、なかなか終われない。

パチンコの確変とは少し違うけれど、「せっかく鳴っているのに止めるのもなあ」という気持ちは、たぶんちょっと似ている。

そこへ突然クエストがやってくる

さらに困るのが、途中から追加報酬のクエストが出てきたとき。

「○時までに○件配達すると追加報酬」

そんなものを見せられると、それまで帰ろうとしていた気持ちが少し揺らぐ。

あと数件。

時間もまだある。

それなら……。

配達員の悪い癖が始まる。

ただ、クエストを達成したいからといって、何でも受ければいいわけでもない。

遠くまで連れていかれる注文を受ければ、1件は増えても次の注文が取りにくくなることがある。

追加報酬は欲しい。

でも、そのために普段なら受けない注文まで追いかけるのは何か違う。

結局、いつもの配達を続けながら、取れたらラッキーくらいがちょうどいいのかもしれない。

「今日は稼げた」と「今日は疲れた」は両立する

結果だけ見れば悪くない日だった。

追加報酬も取れたし、配達件数も増えた。

数字だけなら「今日は当たりの日」。

でも、終わってみると妙に疲れていた。

足が痛いとか、腰が痛いとか、そういう疲れとも少し違う。

帰宅して、お風呂に入って、横になる。

眠いわけではない。

ゲームをする気にもならない。

アニメを見るのもなんだか疲れる。

ただ目だけ開いていて、何もしたくない。

「あ、今日は身体より頭が疲れたのかも」

そんな感じだった。

フードデリバリーは意外と判断することが多い

配達は、お店から商品を受け取って、お客さんのところまで運ぶ仕事。

文字にすると、とても単純に見える。

でも一日やっていると、小さな判断をずっと繰り返している。

この注文を受けるか。

遠すぎないか。

次の注文につながりそうか。

今は件数を優先するのか。

追加報酬を狙うのか。

そろそろ休憩するのか。

それとも帰るのか。

一つ一つは大した判断じゃない。

でも、それを何時間も繰り返していると、最後にまとめて疲れがやってくる日がある。

鳴っている日に帰るのが一番難しい

暇な日は「今日はダメだ」と諦められる。

忙しい日は稼げる。

厄介なのは、その中間……と思っていたけれど、実はずっと鳴っている日もなかなか厄介だった。

「あと1件だけ」

これを何回言っただろう。

結局、その日は予定よりずっと長く走っていた。

追加報酬までしっかりいただいたので、文句を言う筋合いでもない。

でも次に「あと1件だけ」と思ったときは、少しだけ疑うことにしよう。

たぶん、その1件では終わらない。

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